HRT(ホルモン補充療法)の薬の種類

HRT(ホルモン補充療法)の薬の種類 更年期障害
引用元:Adobe Stock
スポンサーリンク
HRT療法とは、エストロゲン・黄体ホルモン配合剤を補充する療法です。方法は経口薬を飲む方法、経皮吸収材はエストロゲン・黄体ホルモン配合剤を体の一部に貼ったり、塗ったりする方法です。

HRTに用いられる薬

国内でよく使われているエストロゲン製剤

用途別 成分名 薬剤名(用量)
経口薬 エストロゲン単剤 結合型エストロゲン プレマリン錠(通常量)
エストラジオール ジュリナ錠0.5mg(1錠)(低用量)
エストロゲン/黄体ホルモン配合剤 エストラジオール/レボノルゲストレル ウェールナラ配合錠(通常量)
黄体ホルモン製剤 酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA) プロベラ、プロゲストン錠、ヒスロン錠
ジドロゲステロン デュファストン
ノルエチステロン ノアルテン錠
経皮吸収材 エストロゲン単剤 貼る(パッチ) エストラジオール エストラーナ 0.72mg(通常量)
フェミエスト 2.17mg(低用量)
エストロゲン単剤 塗る(ジェル) エストラジオール ル・エストロジェル 0.06%(2プッシュ)(通常量)
ディビゲル1mg(1包)(通常量)
ル・エストロジェル 0.06%(1プッシュ)(低用量)
エストロゲン黄体ホルモン配合剤 貼る(パッチ) エストラジオール/酢酸ノルエチステロン メノエイドコンビパッチ(通常量)

※黄体ホルモン配合剤は、子宮内膜の増殖予防・子宮体がんの予防に使われるお薬で、子宮・卵巣全摘出をした方には使われません。

ホルモン療法のリスクと副作用について

ホルモン療法にはリスクや副作用が伴うことがあります。生理様の出血、筋腫が大きくなる、ホルモン剤と子宮癌の関係、胃の不調、乳房に張りや痛みを感じるなどの副作用があることも。

ホルモン療法にはリスクや副作用が伴うことがあります。

生理様の出血

これは、ホルモン剤の投与による女性本来の生理的現象で、危険性はありません。
ただ、こういう症状が嫌な場合は、薬の量を加減して出血しない、又は少量に抑えることもできますので、そこは医師と相談して薬の量を決めていくようにします。

筋腫が大きくなる

それはホルモン剤により、筋腫が刺激されるせいです。
こういう場合は、ホルモン剤の量を半減したり、弱い薬に変えてもらう等、医師の指示を仰ぐと良いでしょう。
筋腫はホルモンが分泌されている間は大きくなります。そこにホルモン剤を投与すれば筋腫に栄養をやっているようなものですよね。
人によっては、漢方薬に切り替える方もいらっしゃいます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などが一般的です。

ホルモン剤と子宮癌の関係

エストロゲンの単体の投与は、子宮体がんになりやすいのがわかっています。なので、最近ではエストロゲンと黄体ホルモン(プロゲステロン)の併用という方法がとられています。
この方法だと、子宮体がんの発生率は、HRT療法を受けていない人よりも低くなるというデータがあります。
しかし、子宮摘出をした方にはこの方法はとられません。

胃の不調

これは、体がホルモン剤に慣れていないために起こる症状です。
最初は薬の量や飲む回数を調節して、この症状を和らげることができます。
慣れてきたら、少しずつ増やしていくと良いでしょう。

乳房に張りや痛みを感じる

これもエストロゲンが原因です。
乳房繊維腺腫といい、良性の腫瘍で癌になることはないとされています。
やはり薬の調整で改善されるので、医師と相談しましょう。

乳癌になりやすくなる

私の母は乳癌が原因で亡くなりました。
だからホルモン剤にはかなり抵抗がありましたので、マンモグラフィー検査を定期的に受けています。
6か月のホルモン剤治療だったのですが、おかげ様で乳癌の兆候は見られませんでした。

しかし、ホルモン剤と乳癌の因果関係については、みなさんが脅威に感じるほどのものではないということです。
米国HRT臨床試験によると、5年以上の長期にわたってホルモン剤の治療を行った患者さんが乳癌に罹る確率は、1万人に3人増える程度だそうです。
万が一身内に乳癌に罹った方がいた場合の因果関係もないということです。

エストロゲン補充療法の疑問点

エストロゲンを補充してから効果が現れるまでの期間や、効果についての疑問や他の薬と併用しても良いのか等の疑問について書いています。

エストロゲン療法を受ける前にやるべき検査

血液検査でエストロゲンと卵胞刺激ホルモン※1をしらべます。
その結果が血中のエストロゲン(E2)30pg/mL 以下、卵胞刺激ホルモン(FSH)30mIU/mL 以上であれば治療を開始するのですが、その前に、肝機能、コレステロール、貧血・血液凝固、尿検査、乳がん検診、子宮頸がん、体がんなどの検査をやります。

エストロゲン療法の効果はどれぐらいで出るのか?

たいていは3日~3か月ぐらいで効いてきます。
個人の体質によっても変ってきます。
ホットフラッシュ・不眠・膣炎・粘膜の乾きなどには効果的です。

エストロゲン療法が効かない時もあるのか?

ホルモン療法は、エストロゲンを補充することによって症状を改善するお薬なので、エストロゲン低下が原因でない場合は効き目が出ないことがあります。その場合は他の検査が必要になります。

ホルモン剤と他の薬をいっしょに飲んでも良いのか?

乳がん、子宮がん、血栓症の薬を飲んでいる方は併用できません。
また、血糖値を下げる薬を飲んでいる方がホルモン剤を併用すると、血糖の降下の作用が弱まります。
風邪薬や鎮痛剤など、普段の常備薬との併用は問題ないです。

エストロゲン療法を受けられない人は?

乳癌・子宮癌・血栓症の方は原則受けられません。
また子宮筋腫・乳腺症※2・糖尿病・高血圧・肝機能障害の方は、医師のしっかりとした管理の元で受けてください。(大きな病院または、更年期障害に詳しい婦人科)

追伸:
閉経していなくてもエストロゲン療法を受けることができますが、その場合も婦人科または大きな病院での検査を受けてからにしてください。

補足情報(注釈※)

※1 卵胞刺激ホルモンとは:脳下垂体前葉から分泌されるホルモンで、卵巣の卵胞を成熟させ、卵胞ホルモン(発情を誘発するホルモン)の分泌を促すものです。
※2 乳腺症とは:乳腺にできる良性腫瘍で、乳癌と似ているので鑑別が難しい病気です。罹る年齢は30歳代~50歳代に多く、痛みがある場合もあります。また、乳首から血の混じった分泌物・透明の分泌物がでることもあります。乳がんになる確率が普通の人の2倍以上になるとも言われています。
タイトルとURLをコピーしました